夜中、スマホの緊急速報が急に鳴って、うちの子がびくっと顔を上げる。揺れがおさまるまで、足元にぴったりくっついて離れない。
このぬくもりと一緒に逃げるために、ふだんのうちに整えておきたいのは3つです。持ち出すものの順番、フードと水の備え、はぐれても帰ってこられる準備。全部を一度にそろえなくても、ひとつずつ進めていけます。
愛犬のお留守番環境診断で「もしもの備え」が気になる結果が出た方にも、手がかりになるはずです。
この記事でわかること
- 「同行避難」と「同伴避難」のちがい
- 持ち出すものの順番
- フードと水は何日分を用意しておくとよいか
- はぐれても帰ってこられる準備と、ふだんの練習
- 避難先と預け先を、先に確かめておくこと
「同行避難」って、どういうこと?
災害のときのペットの避難では、「同行避難」という言葉がよく出てきます。これは、飼い主さんがうちの子を連れて、避難場所まで一緒に移動すること。
知っておくと役に立つのは、「避難所で同じ部屋で過ごせる」という意味ではない、ということです。避難所でペットのお世話をしながら過ごすことは「同伴避難」と呼ばれます。こちらも同じ部屋で過ごせるとは限らず、どんなふうに過ごせるかは避難所によってちがいます。
「一緒に逃げる」ことと、「避難先でどう過ごすか」。この2つは、分けて考えておくのがおすすめです。
まずは、飼い主さんが無事でいること
うちの子を守るための出発点は、飼い主さんが無事でいることです。地震への備えなら、家具を固定するなど、飼い主さん自身の身の安全から整えていきます。
そのうえで、うちの子の居場所も見直してみてくださいね。
- ケージは、固定した家具のそばに置く
- 重い物が、サークルの中に落ちてこない場所にする
部屋で自由に過ごしている子なら、家の中で比較的安全な場所を「逃げ込み場所」にしておくのも手です。
持ち出すものは、順番をつけておく
備えるものに順番をつけて、いちばん大事なものは人の避難用品と一緒に置いておくと、すぐに持ち出せます。犬に関係するものを中心に並べると、こんな順番です。
1
- 中身
- 健康や命に関わるもの
- 主なもの
- 療法食・薬、フードと水、キャリーバッグやケージ、予備の首輪とリード(伸びないもの)、ペットシーツ、排せつ物の処理用具、食器
2
- 中身
- 情報
- 主なもの
- 飼い主さんの連絡先、飼い主さん以外の緊急連絡先・預け先、うちの子の写真、ワクチンの接種状況・持病・飲んでいる薬・かかりつけの動物病院などの情報
3
- 中身
- ペット用品
- 主なもの
- タオル、ブラシ、ウェットタオル、ビニール袋、においのついたお気に入りのおもちゃ、ガムテープやペン
うちの子の写真は、印刷したものと、スマホに保存したものの両方があると役に立ちます。はぐれたとき、姿を見せて一緒に探してもらうのに使えます。
避難させるときに使うもの
- 首輪とリード(小型犬などは、リードを付けたうえでキャリーバッグに入れる)
- 扉のついたクレートやケージ
- 犬用の靴下やバンテージ(大型犬を歩いて避難させるとき、がれきでけがをしないように)
重い物や大きな物は、避難のじゃまになることもあります。いったん避難して、安全を確かめてから取りに戻れるよう、屋外の倉庫などに置いておくのも手です。
フードと水は「少なくとも5日分」
避難所などにペット用の救援物資が届くまでには、時間がかかることがあります。フードと水は、少なくとも5日分、できれば7日分以上を用意しておくのがおすすめです(環境省の資料より)。
療法食など特別なごはんを食べている子は、もっと長い期間分の用意が必要とされています。どのくらい備えるかは、かかりつけの獣医師と前もって相談しておくのがおすすめです。
「ローリングストック」で古くしない
いざというときに、備えたフードが期限切れ。そうならないための方法が「ローリングストック」です。いつものごはんを少し多めに買っておき、古いものから使って、使った分だけ買い足していきます。
もうひとつ、救援物資がいつものフードと同じとは限りません。ふだんから好き嫌いなく食べられるようにしておくことも、備えのひとつです。
はぐれても、おうちに帰ってこられるように
災害のときは、うちの子とはぐれてしまうこともあります。保護されたときに飼い主さんのもとへ戻れるよう、「どこのおうちの子か」が分かるようにしておきます。
はぐれたときの「名札」3つ
迷子札のついた首輪。
鑑札と狂犬病予防注射済票(犬は、つけることが法律で決められています)。
マイクロチップが入っている子は、登録されている情報。
引っ越しや電話番号の変更のあと、マイクロチップの登録がそのままになっていませんか?氏名・住所・電話番号などが変わったときは、登録先(指定登録機関)への変更の届出が必要です。一度、確かめてみてくださいね。
迷子札をまだ用意していなければ、名前を刻めるタグを選んでみるのもひとつの方法です。
キャリーに自分から入る子は、避難上手
災害のときは、ふだんおとなしい子でも、びっくりしていつもとちがう動きをすることがあります。すばやく避難するために役に立つのは、キャリーバッグに入るのを嫌がらないこと。それから、「待て」「おいで」ができることです。
避難所で過ごすことを考えると、こんなことも役に立ちます。
- ケージやキャリーバッグに慣れておく
- 決められた場所で排せつできるようにする
- むやみに吠えないようにする
- 人やほかの動物を怖がりすぎないよう慣らしておく
避難所では、下痢や嘔吐、食欲がないといった、ストレスのサインが見られることがあります。ほかの動物と会う機会も増えるので、ワクチンやノミ・ダニの予防も、ふだんの健康管理として続けておくのがおすすめです。
キャリーの練習は、扉を開けたまま部屋に置いて、中でおやつをあげるところからなら今日からでも始められるので、気が向いたときに試してみてくださいね。気づけば自分から入って、中でくつろいでいる。そうなったら、頼もしい避難上手です。
避難先と預け先、先に確かめておく
ハザードマップと、ペットを受け入れる避難所
まずは、自治体のハザードマップで住んでいる地域の危険を見ておくこと。それから、ペットを受け入れる避難所と連れて行くときの注意点を自治体に確かめておくと、いざというときに迷いにくくなります。
お散歩のついでに、家族でうちの子と避難場所まで歩いてみるのもおすすめです。かかる時間や、途中の危ない場所が分かります。
避難のしかたは、ひとつではない
自宅が安全だと確かめられたときは、家で避難生活を送る「在宅避難」という選び方もあります。頑丈な建物に住む人には、在宅避難をすすめている自治体もあります。
車の中で過ごすときは、ペットも熱中症になることを忘れずに。うちの子だけを車に残すときは、車内の温度に常に気をつけて、飲み水をたっぷり用意しておいてくださいね。
預け先を、いくつか考えておく
避難所で一緒に過ごすのが難しいこともあります。親戚や友人など、一時的に預かってもらえる先を、いくつか考えておくと心強いです。動物病院や民間の団体などに預ける場合は、条件や期間、費用を確かめておくのがおすすめです。
お留守番の時間が長いおうちなら、留守中に災害が起きたときのことも。誰がうちの子のもとへ向かえるのか、家族や頼れる人と一度話しておくと、いざというときに迷いにくくなります。
今日、ちょっと試してみたくなること
- 持ち出す袋に、うちの子の写真と連絡先のメモを入れてみる
- キャリーを部屋に出して、中でおやつをひとつ
どちらも、今日のうちにできます。
こんなときは相談を
- 避難生活のあいだに、下痢や嘔吐、食欲がない状態が続くときは、動物病院に相談してください。災害のあとには、自治体や獣医師会などが相談窓口を設けることもあります。
- ぐったりしている、呼吸が苦しそう、けがをしているといったときは、様子を見ずに受診してください。
- 療法食や薬が欠かせない子は、災害のときにどう備えるかを、ふだんのうちにかかりつけの獣医師と話しておいてください。
- この記事の内容は、診断や治療の代わりにはなりません。
うちの子の「もしもの備え」も見てみる
愛犬のお留守番環境診断では、安全・快適さ・見守り・生活リズム・もしもの備えの5つの視点から、うちの子のお留守番環境を確かめられます。頼れる先や停電への備えがどのくらいできているかも分かります。
災害のときの飲み水は、ふだんのお水の置き方ともつながっています。お留守番中のお水、どう用意する?もあわせて読んでみてくださいね。



